令和5年7月12日
『経済産業省職員のトランスジェンダー女性へのトイレ使用制限に対する最高裁判所の判決に対して女性職員逆転勝訴についての声明』
令和3年第285号行政措置要求判定取消国家賠償請求事件の最高裁判決がありました。
本事案は経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性職員のトイレ使用に対して、勤務するフロア及び上下層階3フロアのトイレ使用を制限するものであり、これに対して制限をするのは不当であり憲法違反だとして国を訴えた国家賠償請求です。
1審の東京地裁は違法とし勝訴しましたが、2審の東京高裁では、適法と判断し敗訴しました。その後、上告し最高裁にて裁判官5名の全会一致で人事院の判定である、トイレ使用制限に対し事実経過を含め裁量権の範囲を逸脱し濫用したものとして違法と判断しました。これにより、一連の裁判は、経産省職員の逆転勝訴となりました。
また、自認する性別において生活を送ることは、当事者にとって最も重要な部分でもあり、
区別をして取り扱うことについては、正しい考え方とします。ただし、誤解を生む形になるのは当人にとっても不安解消材料にはなりません。トランスジェンダーについては、官民が一体となり理解をし尊重することが重要と考えます。それには、理解促進として、研修会や講演会・勉強会・官民職員への教育を実施し適切な取り扱いをする事が期待されています。
本件の職員は健康上の理由から性別適合手術を受けることができないことから公平性を欠けるものとなると結論付けました。
身体への影響及び生命・健康・精神的な負担を考えても経済的な負担は多く、実際には、手術を受けれない当事者の方は多くいらっしゃいます。これを受けていなくても、可能な限り本人の性自認や生活環境を尊重し適切な対応と対策を講じていかなければいけません。
『性同一性障害の性別の取り扱いに関する特例に関する法律』についても性別変更の重要な項目である性別適合手術の規定のあり方についても考え直すきっかけになってくれたらと思います。
性的マイノリティ特にトランスジェンダーに対する差別的な扱いや偏見など不利益な状態が今も続いています。性別変更要件の手術要件は必須と考えますが、それが逆に不利益になる方もいるのも事実です。本件、最高裁判所大法廷での判決は、今後の立法府において真摯に受け止め今回の判決文が生かされることを願います。
最後に本裁判をするにあたり経産省女性職員に対し敬意を表します。
徳島レインボーフェスタ実行委員会
共同代表・メンバー一同